今回ご紹介する本は、『生き抜く力をはぐくむ 愛着の子育て』(ダニエル・J・シーゲル/ティナ・ペイン・ブライソン/桐谷知未 訳)です。
子育てで、「本当はもっと〇〇したい」「どうしてこうなっちゃうんだろう?」と感じることはありませんか?私はあります。今回、私がこの本を手に取ったきっかけは、心理系の講座を受講中に、人間関係の距離の取り方というテーマで話を聞いていたところ、「回避性愛着スタイル」という言葉を知ったからです。
そもそも、「愛着」って何?
「愛着」とは、特定の人に対する情緒的なきずなのことです。
本書では、「子育ての究極の目標は、確かな『愛着』を育むこと」と記載されています。
『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』(岡田尊司 著)によると、乳幼児期の親と子の関わり方は、大人になってからの人間関係のパターンにも影響するのだとか。
たとえば、
①幼少期の親との関わり方により、親からの反応を期待しなくなる」
② ①の子どもが、「回避型愛着スタイル」を形成するようになる
③ 大人になってからも、人と深く関わることを避ける
といった例がわかりやすいでしょうか
この本はこんな方たちのために書かれています。
- もっときちんとしたよい親にならなければと思い悩み、心配している人たち
- 感情を抑えられなかったり、接し方がとても難しかったりする子どもを持つ親たち
- なりたてほやほやの親、あるいはもうすぐ子どもが生まれる親で、途方に暮れている人たち
- 子どもに寄り添う時間がどんどん少なくなってきた親たち
私はこの本で読書会をしたことがあります。
「よかった!」というお声もあれば、「私は読むのがしんどかった」という感想をシェアしてくださった方もいます。子どもが小さいうちに取り組めることがたくさん書いてある本ではあるのですが、読む方の状況によっては合わないのかもしれません。
愛着についての疑問
私は、「幼少期の親との関係で出来上がった『愛着スタイル』の影響は、いつまで続くのだろうか?」
「愛着の影響で出来上がってしまった人間関係のパターンから抜け出す方法はないのだろうか?」と気になりました。
本書は300ページを超える本で、ボリュームたっぷり。今は全体をざっと読んだ程度で、まだ細かい部分を精読できているわけではありません。今日は、現在読んでいる範囲の中で本をご紹介してみます。
そもそも、「愛着」を築くと、何がどういいの?
本には、「確かな愛着を育むことができると、自己肯定感、コミュニケーション能力、学業と仕事での成功、脳の発達にまで、最大限の効果が期待できる」とあります。
具体的には、
『愛着の子育て』p.31
- 自己肯定感が高くなる
- うまく感情を制御できる・ストレスに対処できる
- 友達と楽しく付き合える
- 親と幸せな良い関係が築ける
- リーダーとしての優れた資質がある
- 自己主体感が高い
- 大人になってからの、信頼に基づく恋愛関係を築ける
- 共感する力に優れる
- 全般的な社会的能力が高い
などにつながるようです。
愛着は、どうやって育むの?
「愛着を築く=子どもに寄り添うこと」と本には書いてあります。
でも、毎日・毎分・毎秒子どもに寄り添えているかというと、できないと(私の場合は)思います。
子どもが2歳くらいのころは特に心にゆとりがなくて、カッとなって必要以上にキツい言い方をしてしまったり、「もうちょっと優しく接することができたんじゃ」と、自己嫌悪に陥ることがしょっちゅうありました。
忙しい時に、「子どもにテレビや動画を見せて、自分は別のことをしている」なんてこともあります。
あるよね、そういうこと。
あと、最近よく思うことがあります。
それは、「自分自身が親にどう接してもらっていたか」が「(自分の)子どもに対する接し方」に影響をしているということ。
たとえば私は、親や祖父母を見て「こうはなりたくない」と思っていた部分に似てしまっていることに気づいてゾッとしたことがあります。(言葉の言い回しや、叱り方など)
この「親の似たくない部分に似てしまう現象」、私以外の人からもたまに聞くんだけど、この本をヒントに、脱却できないかなあ。
あなたが自分の過去について、”筋の通った物語”を見つけられれば、効果的に子どもとの愛着を育めるようになる
「親自身が、どんな子ども時代を送ったとしても、大丈夫」
本書のp.36には、心強い言葉が書いてあります。
「子どものなかに確かな愛着を形成するには、親自身がよい親に育てられる必要があるわけではない」「自身の生い立ちをじっくり見つめて理解すれば、子どもと確かな愛情を育むことはできる。」とあります。
私自身はまだ取り組んでいませんが、この本には
「自分の過去を振り返り、理解し、自分の子どものとの関係について考えるための7つの質問」(p.260)や、「今わたしに必要なことを考えるための8つの質問」(p.306)などがあります。
自分の幼少期の経験がどれくらい自分の発達に影響し、それがどう子どもへ接し方を左右してきたかをじっくり考え、「これからどう子育てしていくか」の選択につなげることができるんです。
この本には、
「自分自身の過去の物語を理解することで、どんなふうに育てられたかに関係なく、自分がなりたい親になれる」とあります。
ご興味のある方は、よかったら一度Amazonで覗いてみてください。
質問形式のワークが複数入っているので、読むだけで終わらせたくない人にいいかも!